【クマノミ(ペルクラクラウン)のブリード】エサの準備【ワムシ】

ぺルクラクラウン

稚魚の初期飼料=ワムシ

クマノミの仲間は親魚が卵が孵化するまで面倒を見てくれるので、わたしたちは孵化後のお世話をすればよいという事になります。ふ化した稚魚の育成ポイントはエサです。稚魚育成はエサ育成ともいえます。

★孵化日~5日目:ワムシを与える期間
・6日目頃~:ワムシ及びブラインシュリンプ幼生を与える
・12日目頃~:ブラインシュリンプ幼生を与える
・28日目頃~:乾燥飼料を与え始める

ここでは、わたしの行っているワムシの培養方法を紹介します。

ワムシとは?

え?ワムシって何?虫?

いいえ、安心してください。虫ではなく、シオミズツボワムシというプランクトンです。

ワムシは汽水域に生息するプランクトンです。このワムシの種を購入して、継代培養をすることでいつでも栄養豊富なワムシを与えられるようにしておきます。ワムシはうまく維持できれば1回買えば理論上ずっと増やし続けることができます。

淡水ワムシではないのでご注意ださい。シオミズツボワムシですよ~

わたしの培養設備

購入したワムシは量が少ないので直接稚魚に与えるのではなく培養します。培養のための容器は色々試したのですが100円ショップで売っている砂糖の容器がフタもついていて非常に便利です。フタが付いているとはいえ、エアレーションの飛沫で多少はもれるので、ポリエチレンボックスに収めています。お好みのボックスで良いでしょう。

ワムシを2つに分けます。片方は多め、片方は少なめ。多めの方は使用のため、少なめの方は次代での使用のために。ワムシには毎日エサを与えます。ワムシの餌はクロレラです。濃縮淡水クロレラを用意して与えます。DHA、EPAが添加されているものが望ましいです。クール便送料が悩ましいですがクマノミ繁殖の権威、日海センターで扱いのあるクロレラがおすすめです。他に通販で探すと下記のクロレラはメール便発送で、DHA、EPAが添加されているハイグレード品のようです。

シオミズツボワムシの培養で使用するクロレラは淡水クロレラなのでお間違いなく~

フタにエアホースのための切り欠きをペンチで入れたらジャストフィット!!

3個絶賛稼働中の様子。右は使用中。真ん中は次世代用。左は次次世代。ワムシは濃度が高くなってくるといっぺんに絶滅するので、3世代とも濃度を分散して全滅しないようにします。

エアポンプは水作のSSPP-3S一択です。

なんといっても音が静か。小型で十分なパワー。安くて丈夫。吐出量を調整可能。エアポンプの超名作です。わたしは結束バンドでツールワゴンに引っ掛けています。振動が伝わりにくく非常に静かに動作してくれます。

上記の様な分岐コックを使用して1台のSSPP-3Sで複数の培養槽に送気します。4口あれば培養槽1,2,3、そして稚魚ケースにも送気できるので便利です。

培養したワムシはネットで漉しとります。左がワムシ用、右はメッシュが大きいブラインシュリンプ幼生用のネットです。どちらも使用後はきちんと水で洗って衛生を保ちましょう。

ワムシの育成状況の確認は懐中電灯で照らすとよく見えます。どの程度の濃度が限界か目で見ておくのです。どんなものでもよいのでLED懐中電灯を1個準備しておきましょう。

培養のポイント

培養のための汽水は1.015~1.020程度が良いです。わたしの手元の人工海水では1Lに20ccの人工海水を溶かして使用しています。塩素中和もお忘れなく。

冬季は保温した方が培養速度が速いです。我が家は冬季は室温18℃前後ですが、無加温で培養できています。より寒い部屋の場合は加温しましょう。

クロレラは1日で緑色が黒っぽい黄色になる程度の量を滴下します。クロレラを過剰に滴下すると酸欠、少なすぎると餓死します。このさじ加減は何度が滴下して様子見が必要です。わたしの場合は1Lの容器に対して、朝6滴ほど滴下し、夜に色が変わっていれば追加滴下。まだ緑色なら翌朝までそのままにして翌朝5滴滴下。の様に調整しています。

ケース内のワムシ濃度が高まってくると絶滅間際です。次世代にバトンタッチしましょう。全世代分がいっぺんに絶滅して種がなくなったら、再度種ワムシを購入する必要が生じてしまいます・・・。

ワムシに雑菌を入れないようにしましょう。飼育水が入ると雑菌混入の恐れがあります。意図的に飼育水を入れる人はまずいないのですが、飼育水を取り扱った器具を洗わずにワムシに使う、などうっかりに注意しましょう。ありがちなのは、ワムシネットで稚魚にワムシを与えたがもう少し入れたい・・、という時にそのまま同じワムシネットですくってしまう。このような時はネットを洗ってからすくいましょう。

クロレラは冷蔵保存で1か月程度しか持ちません。余っても鮮度が落ちているので期限が来たら新しいクロレラを購入する必要があります。つまり、クロレラは大容量を買っても意味がなく、約1か月で使う分だけ買う必要があります。

ワムシの継代培養

一番高濃度のワムシが飽和してきたら絶滅する前に新しくします。ワムシをネットで1~3杯すくって新しい培養水に入れて再培養を行います。その際に、ケースはしっかり洗っておきましょう。ワムシ濃度が低くなるためクロレラの滴下量は調整(いつも通り入れると過剰)します。このように、世代を交代しつつワムシ培養を継続します。

懐中電灯で照らしてワムシチェック。このくらいのワムシ濃度がほぼ限界濃度。まもなく全滅するため世代を交代する必要があります。汚れも舞っています。この写真を撮ったのは2月なのでここまでの濃度を保っていますが、水温が高い夏場はもっと低密度でも全滅するはずです。

中くらいのワムシ濃度。このくらいならまだ増えることができます。

新しくセットした直後。いちばん上の高濃度槽からネットで4掬いほど新しい水に放ったところ。意外に密度が高く、2掬い程度でもよかったかな・・・。初期濃度が高いとすぐ飽和してしまいます。

まとめ

一昔前まで、稚魚の初期飼料といえばブラインシュリンプくらいしか選択肢がありませんでした。一方で海水魚の稚魚の中では比較的大きいといわれるクマノミですらブラインシュリンプは食べることができない小ささで産まれてきます。水産業界で確立されたワムシの培養技術がここ10年くらいの間でしょうか、ホビーレベルに降りてきてワムシを家庭で用意することが可能になりました。わたしたちのもとでもクマノミのブリードが可能になったのはひとえにこのワムシのおかげです。ほんの少し手間がかかりますが、もともとは水産業由来のエサ故コストはあまりかかりません。本日はわたしのワムシ培養方法を紹介しました。多分に自己流のところもありますが参考までにどうぞ~

ワムシがないと、ブリードも始まらないんだね~!

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