クマノミが無事に孵化してから3日。稚魚の成長に伴い、そろそろ次のエサであるブラインシュリンプ幼生を準備するタイミングです。ここでは、クラウンファクトリーで実際に行っている3〜4日目の飼育管理とブラインシュリンプの準備手順を紹介します。ブラインシュリンプの詳細手順は別記事にまとめていますので、本記事では要点を中心に解説します。
3日目のポイント
- 水替えとワムシの補充は1~2日目の工程と同一
- 3日目にブラインシュリンプの準備を行う
- 孵化したブラインシュリンプはすぐに与えず栄養強化してから稚魚へ
水替えとワムシの補充
1日目、2日目と同様に、ピペットを使って底に溜まった汚れを吸い出します。
底の汚れを吸いきったらコップなどで一杯ずつ海水を掬い出していきます。水替えホースなどは使用しません。稚魚はまだまだ遊泳力が弱いためくれぐれも強い水流を起こさないように丁寧に海水を排出します。
💡ポイント:強い水流を起こさないように!
稚魚はまだ遊泳力が弱いため、水替えホースなどは使わず、コップなどでゆっくり汲み出します。
海水を70%程度排出できたら親水槽から汲んだ新しい飼育水を静かに注ぎ入れます。最後に新しいワムシを補充して完了です。
ブラインシュリンプの準備をします
3日目には、5日目に稚魚へ与えるためのブラインシュリンプエッグの孵化セットを仕込みます。
手順の詳細は下記の記事にまとめています
クラウンファクトリーでは、ベトナム産ブラインシュリンプエッグを使用。幼生サイズが小さく、栄養価が高いため稚魚に適しています。20gでおよそ半年ほど持ち、コスパも良好です。

また、タッパーを使った「皿式孵化法(=浅めの容器で孵化させる方法)」を採用しています。簡単で失敗が少なく、小規模ブリードにも最適です。

毎日の作業だからこそ、シンプルで続けられる方法が大切です。
ブラインシュリンプ幼生は栄養強化をする
ブラインシュリンプエッグをセットして24時間程度経過したらブラインシュリンプ幼生が孵化します。ここで重要なのが「栄養強化」です。孵化したばかりのブラインは栄養が少ないため、孵化したらすぐ稚魚に与えるのではなく、栄養強化を行ってから稚魚に与えます。栄養強化とは、ブラインシュリンプに餌(クロレラ)を与えて栄養価を高める工程です。現在、下記のスーパー生クロレラを使用しています。DHA、EPA、ビタミン強化したクロレラです。安価ですが良質です。メール便でも送ってくれますが、品質保持のためクール便を選んでいます。なお、このクロレラはワムシの培養でも使用しています。
栄養強化は、ブラインシュリンプが孵化してから12時間~24時間経過に、上記の濃縮淡水クロレラを添加することで行います。

ブラインシュリンプが入った汽水20mlあたり1滴を目安に濃縮淡水クロレラを滴下します。滴下後、3時間~半日程度たったら栄養強化の完了です。

栄養強化が完了したブラインシュリンプはその日のうちにすべて使い切ります。翌日は新たに孵化させたブラインを使用します。栄養強化済みブラインを常に途切れなく供給するために、タッパーを2セット用意して交互に使うのがおすすめです。
まとめ:3~4日目を乗り越えると光が見えてきます
ペルクラクラウン(カクレクマノミ)の稚魚は3〜4日目が最もデリケートな時期。ここを越えると、明らかに泳ぎも力強くなり、体色や模様が出始めます。

4日目までがひとつの節目。人間でいえば「七五三」のようなものですね。
次回は5日目の成長と給餌の様子をお届けします。