マリンアクアリウムに欠かせない海水
マリンアクアリウムには海水が欠かせませんね。清浄な天然海水を身近に入手できる方は多くないと思います。そのため、ほとんどのキーパーが人工海水を使用してます。人工海水は国内外から多種多様な塩が販売されています。わたしもそれなりの種類の人工海水を使用してきました。ここではわたしの経験をもとにいくつかの人工海水とそのポイントを紹介します。
良い人工海水とはどんな塩なのか?
人工海水の個別銘柄に入る前に、そもそも良い人工海水とはどんな塩か?わたしが考えるに・・・
<良い人工海水の要素>
◎溶解速度が早い
◎カルシウム濃度が高い
◎各種元素、微量元素をバランスよく含んでいる
◎均一な成分(パッケージ内および製造ロット間の均一性を含む)
◎長期間きれいな水を保ちやすい、pHを保ちやすい
◎どこでも売っていて入手しやすい
◎湿気にくい、保存しても安定している
◎できれば安い
<こんな要素はマイナスポイント>
・値段が高い
・コケが生えやすい
・溶解速度が遅い
・成分にムラがある(ロット間、製品内)
・湿気やすい、保存しにくい
上記のような点が挙げられます。安い塩は安い塩の良さ、高い塩は高い塩の良さを持っています。高級で上質な人工海水は多くの成分を絶妙なバランスで含有しています。それはユーザー側も適切に使用しないと高級人工海水の良さを発揮できません。人工海水の正しい使い方はまた別の記事に詳しくまとめたいと思います。それでは、各商品を見ていきましょう!
インスタントオーシャン
いきなりかつド定番ですが、最も実績が長くおすすめできる人工海水がインスタントオーシャンです。
わたしも長期間使用していました(今は使用していませんが)。近年かなり値上げされていますが、他の人工海水も相応に値上げされているため相対的な価格面での優位性は揺るぎませんね。わたしはミドリイシもインスタントオーシャンと添加剤を併用して維持していました。使い方を少し工夫すればミドリイシも問題なく飼育できる人工海水です。溶解速度が速い安心と信頼の塩です。迷ったらIOで失敗はありません。カルシウム濃度は公称400ppmと若干低めです。
多少湿気やすい点には注意が必要です。バケツのコスパは魅力的ですが、少量しか使わない場合は使い切るまでに時間がかかります。その場合は湿気やすいので、小袋が複数個入った段ボール入りのものがおすすめです。
レッドシーソルト
レッドシー社のベーシックソルトです。インスタントオーシャンの対抗馬というイメージです。紅海の海水から作った自然由来の人工海水です。溶解速度はインスタントオーシャンには多少劣る印象でしたが、他に悪いところは全くなく良い人工海水です。カルシウム濃度は公称430ppmと程よい濃度です。
サンゴの飼育には下記のコーラルプロソルトが選ばれます。レッドシーソルトは海水魚メインでの活躍が期待されます。
コーラルプロソルト
レッドシーの上級人工海水です。サンゴ、特にミドリイシのようなSPSの飼育に高い効果を発揮します。サンゴ飼育においては大きな信頼と実績を持ちます。溶かしただけで、サンゴに理想的な海水が出来上がるため、あとは日々消費された元素の維持補充をすればよいのです。カルシウム濃度は公称465ppmと高く、多少消費されても400ppm台を維持できるレベルです。他各種成分も高水準で配合されています。
レッドシーにはRCP(リーフケアプログラム)という総合的なソリューションが提供されているので、これに沿った飼育を行う際にはコーラルプロソルトが最適です。レッドシーの総合力はすごいです。
高級で上等な人工海水の代表選手です。なお、リッチな成分の反面、適切な使用方法が求められます。特にこの人工海水は雑に溶かしてはいけません。また、RO水前提の塩であることにも注意が必要です。
シーライフ
日本海水のベーシック人工海水です。特徴は溶解速度の速さと安定性です。保存しても割と湿気にくかった印象があります。
ヴィーソルト
日本海水の高級ラインの人工海水です。ヴィーソルトの他にはない特徴は、水道水を使用した場合でも、RO水を使用した時の様な結果をもたらすように作られたマスキング剤があることです。メーカーによると、ヴィーソルトは光合成を促進する処方とされています。そのためシーライフと比べるとコケの成長も早くなるよ、とハッキリ述べられており、その正直さに好感は持てます。
ヴィーソルトは湿気やすいように感じました。高機能なだけあってデリケートな面がありそうです。湿気ると溶解時に白濁が消えません。開封後は厳重に密封して保存しましょう。
マリンソルト
実はわたしが今使用している人工海水がこれです。値上げが激しいインスタントオーシャンからこちらにシフトしました。
特徴はなんといっても安い事です。そして魚の飼育においては問題がない事。ハタゴイソギンチャクもこの塩で元気です。我が家ではそこそこの量の塩を使うのでこのコスパは助かります。200Lの袋が3つ入って600L、これで送料込み5000円を下回る魅力は大きいです。溶解速度が速く、安定感もあります。安いのですが、問題のない人工海水です。カルシウム濃度は公称400ppmと若干低めです。
安い人工海水をパワーアップする裏技
裏技という程ではありませんが、インスタントオーシャンでミドリイシを飼育していた時は、溶かしたての海水にレッドシーのリーフファンデーションABC+を添加して使用していました。ABC+はサンゴ成長に必要な各種元素がMIXされている総合サプリメントの様なものです。
邪道ですがベースの人工海水は安いものに抑えて、添加剤で整えていました。わたしの性格的に完成されたものを使うより、ガシャガシャ色んなものを加えて水質調整する作業が好きだったのもあります。
石灰藻はカルシウムを必要とします
ライブロックに付いている、付いてほしい、石灰藻はカルシウムを必要とします。石灰藻は良質なライブロックの証でもありますが、石灰藻の維持増殖のためにはハードコーラルと同等レベルのカルシウム濃度が必要です。具体的には最低400ppm程度はカルシウム濃度が欲しいところです。
石灰藻がたくさんある場合はカルシウムが思いのほか消費されていきます。添加剤等で消費されたカルシウムを補給しましょう。インスタントオーシャンは溶かしたてのカルシウム濃度が400ppmとされていますので石灰藻がカルシウムを消費するとすぐに不足気味になります。このような時もリーフファンデーションABC+はカルシウムと同時に消費された各種元素を補給できる優れものです。
石灰藻もハードコーラルもたくさんいれば相当な速度でカルシウムは消費されます。このような場合は、結局はコーラルプロソルトに行き着きます。人工海水選びは楽しいですね~(変態)
人工海水は鮮度が大切
人工海水は長期保存すると質が落ちます。できるだけ新しいものを入手できるように、できれば回転の速いショップで購入したいところです。長期間在庫していたり、屋外に保管されているようなショップでの購入はわたしは避けます。劣化した人工海水は溶かした際に白濁が取れなくなります。経験上海水魚であれば白濁した海水を入れても大きなトラブルはありませんが、サンゴの飼育では何かしらの成分が欠損している可能性が高いため劣化した海水の使用は止めておきましょう。
まとめ 飼育生体に合った人工海水選を選びましょう
海水魚の飼育に闇雲にオーバースペックな人工海水を用いてもコケが出やすいなどデメリットもあります。逆にハードコーラルの飼育に安い人工海水を用いてどうもうまく飼えないなどもありえます。飼育生体に合った人工海水を選びましょう~