【クマノミ(ペルクラクラウン)のブリード】親魚の飼い方・育て方【質の良い卵を産むための水質編1】

ぺルクラクラウン

稚魚を育てるためには親魚が最も重要

クマノミに限りませんがブリードで最も重要な事は、親魚の健康・パワー・成熟度です。親のパワーの違いで卵の質は全く違います。卵の質の違いで、稚魚の育ち具合が全く違います。稚魚を育てるならまず親!親をめちゃめちゃ元気に育てましょう!そのための環境づくりを考えていきましょう。

親魚の飼育環境

何も特殊な設備は必要ありません。基本に忠実に飼育しましょう。下記にクマノミとイソギンチャクを飼育した場合に、わたしがセットする主要な水質スペックを記載します。水質はすべての項目が最良が良いのですが、むやみに全項目を追求してもコストや労力がかかり他が疎かになります。そのため、下記は現実ベースで必要な水質スペックです。多くの項目はクマノミよりもずっとデリケートなイソギンチャク目線でのスペックです。

水量:約30L~
水温:28℃
比重:1.023

アンモニア:検出しないこと
亜硝酸:0.05ppm
未満
硝酸塩:20ppm未満

リン酸塩:必要時に測定
pH:通常測定不要
KH:通常測定不要
Ca:400~480ppm
照明:浅場向けの照明

解説が長くなるため、当ページでは青文字の水温~硝酸塩まで記述していきます。続きは別記します。

水槽(水量)

ペルクラやカクレクマノミは最大に成長しても8cm前後です。そのため、クマノミペアだけの飼育であればミニマムで30cmキューブ水槽でも飼育が可能です。ただし、イソギンチャクを導入したり、他の生体を入れるなら45cm水槽、できれば60cm水槽がおすすめです。

水温、比重

クマノミもイソギンチャクも健康的に育つ水温範囲で高めの水温に設定します。我が家は27.6~28.0℃です。水替え時に一時的にでも水温が変動しないように常に一定の水温を保ちましょう。

比重は1.023です。濃かったり薄かったりはいけません。

比重は別ページに詳しく記述していますのでそちらもご覧ください。

アンモニア、亜硝酸、硝酸塩

アンモニア、亜硝酸はアクアリウム用のテストキットで検出しないレベルを保ちます。わたしは経験上適切に立ち上げればアンモニアは検出しなくなるので今は亜硝酸/硝酸塩テスターだけ使っています。テスターはメーカや商品によって測定レンジが異なります。定量下限(測定できる最小の値)が小さい方が高性能です。

おすすめテスターはレッドシーのマリンテストキット硝酸塩/亜硝酸塩です。

レッドシーの本品は亜硝酸塩と硝酸塩どちらも測定することができます。テスターを2種用意する必要がなくなるので大変ありがたいテスターです。亜硝酸の定量下限は0.05ppmと低い値まで測定できます。硝酸塩は定量下限2ppmとこちらも海水魚の飼育でちょうどよいレンジとなっています。

亜硝酸の測定は、付属のガラス瓶に海水を計り取り、液体の試薬Aを滴下して混合。次に粉末の試薬Bをスプーン1杯入れて混合。Bは溶けにくいのでよく混ぜます。その後粉末の試薬Cをスプーン1杯いれて混合。9分経過したら比色(カラーチャートと見比べること)します。

この写真は0.2ppmですね。悪い水質です。

硝酸塩の測定は試薬Aの量が違う事と、試薬Bを使わない点が異なりますが、比色など基本的な動作は同じです。

硝酸塩50ppmオーバーの様子です。上限の50ppmになっているという事はそれ以上である可能性もあります。硝酸塩50ppmはクマノミは大丈夫ですがイソギンチャクはアウトです。水替えなど早急な対応が必要です。イソギンチャクの導入初期は硝酸塩10ppm未満、水槽に慣れても20ppmが上限目安です。

次に、テトラの亜硝酸テスターも使いやすくおすすめです。

本品の定量下限は0.3ppmと低い値は測定できないのですが、使用方法が非常に簡単です。5mlの海水に試薬1を滴下、混合した後、試薬2を滴下。再び混合した後、比色して値を読み取ります。

使いやすさが売りのテトラテスト。ロングセラーですね。

5mlの飼育水に試薬1を滴下→混合

次に試薬2を滴下→混合

比色します。黄色ですね。ですが・・・上の写真の黄色、実は少しオレンジが入りかけています。本当の0の黄色はもっと明るい黄色なんです。この色、わたしなら「0.2ppmくらい」と読み取ります。この結果の検体は上で紹介したレッドシーのテスターで0.2ppmだった海水です。テトラテスト亜硝酸試薬を使用するときは、1回きれいな真水(淡水でOK)を測定してその黄色を覚えるか写真に収めてください。その黄色と同じなら未検出。少しでもオレンジになろうとしてたらそれ以上。と読み取りましょう。本音を言えば、定量下限0.1ppmまで欲しいですが、利便性と価格を考えたら仕方なしですね。

ちなみにこれが真水を計った黄色です。いかがでしょうか。最初の写真の黄色はオレンジが入りかけていたのがわかりますね。次の色はどうでしょうか?

完全にオレンジ入っていますね。0.3ppm弱と読みます。水質不合格です。

こういうレベルになると迷いはありません。0.8ppmです。これは完全にアウトな水質です。テトラテストは、黄色の読み取り方が使いこなしのコツです。テトラの亜硝酸テスターは硝酸塩は測れません。

続いて試験紙による簡易的なテスターもあります。非常に大雑把にしか測定できませんが、日常管理において異常がないかサッと確認するために便利だったりします。

測定項目は、亜硝酸、硝酸塩、pH、KH、カルシウムです。亜硝酸の定量下限は0.5ppm、硝酸塩は10ppmなので数値を読み取るよりも水槽で異常が生じていないかの確認に向きます。pH、KH、カルシウムの3つの項目は色の違いが読み取れないので使用は現実的ではありません。とはいえ、安価なこともあり、亜硝酸、硝酸塩の簡易チェックにわたしも持っています。

試薬式のテスターは手間で測定しなくなってしまうのであれば、試験紙でサクッと測定する習慣を維持した方が良いこともあります。また、水槽を立ち上げたばかりでそこまで正確に水質を突き詰めなくてよい場合もこの試験紙は手軽でしょう。試験紙はOKかNGの2種類の結果が出る程度に考えています。

イソギンチャク飼育難しい問題

クマノミは海水魚の中では体質が強く、飼育しやすい魚です。クマノミよりもデリケートなのはイソギンチャクで、今回紹介した水質基準はほとんどイソギンチャクの水質要求に合わせています。イソギンチャクを元気に飼えるのならクマノミも飼えます。水質要求レベルが違うのです。

クマノミとイソギンチャクの飼育スタートをしたけど、イソギンチャクだけ死んでしまいクマノミが家なき子に・・・という光景をよく見かけます。

ここで問題になるのは、一般にイソギンチャクがいないとクマノミはほぼ産卵しないことです。クマノミのブリードにはイソギンチャクを上手く飼育することが必要なのです。したがって、イソギンチャク目線で飼育環境を考えることが必要になります。

クマノミの飼育難易度より、イソギンチャクの飼育難易度の影響がおおきいのです。

質の良い卵を産むための水質編1まとめ

質の良い卵を産むための水質編1として、水質の基本的な項目について解説しました。今日の水質目標をまとめると・・・
水温:28℃
比重:1.023

アンモニア:検出しないこと
亜硝酸:0.05ppm未満
硝酸塩:20ppm未満

普通の水質要求ですね。ブリードを目指すからといって特殊な水質は必要がないとも言えます。基本を押さえて、親魚を確実に育てましょう。

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