【誰も教えてくれない】海水魚の白点病4~シマヤッコの白点病が完治|キュプラミン×銅テスターの使い方【白点病治療ドキュメント】

病気

海水魚飼育において、誰もが一度はぶつかる大きな壁——それが白点病です。大切なお魚に白い点がポツリポツリと現れた時のあの焦りと不安。「どうしよう」「もうダメかもしれない」と頭をよぎりますよね。

でも、正しい知識と道具があれば白点病は不治の病ではありません。白点病を乗り越えた経験こそが初心者卒業の証です。この記事では、キュプラミン(銅治療薬)と銅テスターを使って、実際にシマヤッコを完治させた7日間+αの治療記録をドキュメント形式でお届けします。

白点病に有効な治療法は銅を使った治療です。一昔前は硫酸銅が主流でしたが、現在はより扱いやすく安全なキュプラミンが多く使われています。この記事ではキュプラミンの使い方、そして濃度管理に必須の銅テスターについても紹介していきます。

<重要注意事項>
キュプラミン(銅)は全ての無脊椎動物に対して猛毒のため無脊椎動物が居る水槽に銅を投与してはいけません。サンゴ、イソギンチャク、エビ、カニ、貝、海藻・・・魚以外の生体に対しては全て銅はNGなのでご注意ください。また、当サイトの記述はわたくし個人の経験談であり、同じことをして同じ結果が得られることを保証するものではありません。特に病気治療においては一歩間違うと大切な生体の命を脅かす治療薬を用いています。当サイトに掲載された内容を参考にしたことによって生じた損害等の一切の責任を負いかねます。あくまでも経験談情報のひとつとして捉え、くれぐれも自己責任にて治療を行ってください。

治療準備:本水槽での治療を決断

今回の白点病治療では隔離水槽等は使っていません。理由はシンプルで、本水槽に無脊椎動物がいなかったからです。無脊椎動物がいないなら、魚たちをストレスの多い隔離環境に移すよりも、安定した環境である本水槽そのものを治療環境にする方が安全かつ確実と考えたためです。

用意したアイテムは以下の通りです:

  • キュプラミン(治療薬)
  • 銅テスター(銅濃度の測定用)
  • アクアセイフ(今はおすすめしません)

今回の主人公、シマヤッコ君。飼育開始から約1年6か月程経過。乾燥餌をバリバリ食べるかわいいシマヤッコ君です。これまで過去に、白点病1回と、寄生虫に罹患し、治療をした経験があります。今回で2回目の白点病罹患&治療となります。可愛いシマヤッコ君は病気に罹りやすく、とってもデリケート。そこが魅力的でもありますが、初心者泣かせな魚種でもあります。

それではシマヤッコ君の白点病が完治するまでの一週間をお届けします。

1日目 白点病発覚→治療開始 キュプラミン+3.5ml

朝、なんか調子いまいちそうだなーとシマヤッコの様子をじ~っと見ていたら、白点病m(×_×)mではありませんか!!!!!!しかもポツポツと経度ではなく、かなりの量の白点。いつからだろう??一気にこんなに白点が出たのか、少しづつ出ていたが今日まで気づかなかったのか、いずれにしてもガッツリ重度の白点病です・・・。1ミリも迷くことなく、キュプラミンでの治療開始です。

シマヤッコは白点病に罹りやすい事と、サンゴを突く性質から水槽にはサンゴなどを入れていませんでした。そのため、本水槽で治療を行います。(注:キュプラミンは無脊椎動物には厳禁です)

まずはキュプラミンでどの程度の銅濃度にするかを考えます。海水魚の白点病2で示した概念図を思い出してください。

この図に当てはめると、

このようになります。白点虫は死んで、魚は死なない濃度のできるだけ低いレンジでの治療が望ましいです。銅に対する耐性は魚種によって幅があるようですが、今回は0.2~0.3ppmを目指して添加していきます。

40Lの飼育水量に対して1mlのキュプラミン添加が規定量。理論上はこれで0.25ppmの銅濃度となります。わたしの水槽の水量は約60Lなので、初日は1.5mlのキュプラミン投与が規定量です。ですが、経験上最初は吸着されたりして銅濃度は理論通りに上がらないことがわかっているため、1日目には2.5mlのキュプラミンを添加しました(真似しないでください)。

カップに海水をすくい取り、キュプラミン2.5mlをそこへ投入。このきれいな青色のキュプラミン溶液は白点虫を確実に仕留めます。これを水槽にポタポタと30分程度かけて添加します。(以下、キュプラミン溶液の添加は全てこのポタポタ式です)

2.5ml滴下後の銅濃度。やはり最初は銅濃度は高まらず、ほぼ0ppmかせいぜい0.05ppmあたり。追加で1mlのキュプラミンを追加。1日目は合計3.5mlのキュプラミン添加としました。もうお分かりだと思いますが、銅濃度は理論値通りに上がらないのです。そのため、必ず銅テスターが必要になります。

なお、シマヤッコ君は白点病でも餌は食べています。

2日目 +3ml

1日目のキュプラミン添加(3.5ml)から24時間ほど経過した時点での銅濃度はほぼ0ppm、なかなか上がりません。2日目は約3mlのキュプラミンを添加。これでやっと0.3ppmの銅濃度となる。

目標濃度になりました。

3日目 +1.5ml

3日目になりました。昨日から銅濃度は予定の濃度に達しました。シマヤッコ君の白点は一向に収まらず、メチャメチャ白点まみれです。本当に治るのか、治る前にダメになってしまうのではないか、とてもとても心配です。

夕方に約三分の一(20L程)の水替えを行う。水替え後の銅濃度は0.1ppm前後となったため、1.5mlのキュプラミンを添加

4日目 +1.0ml

前日の添加から24時間程経過した時点の銅濃度は0.1ppm前後。シマヤッコ君の白点が少し減ったように思われました。4日目は1mlのキュプラミンを添加。

5日目 +0ml

前日の添加から24時間程経過した時点の銅濃度は0.3ppm前後。非常に良い濃度。シマヤッコ君の白点は確実に減少しています。この日はキュプラミンの追加なし。

6日目 +0ml

4日目の添加から48時間程経過した時点の銅濃度は0.3ppm前後。銅の濃度が落ちなくなって安定している。この日もキュプラミンの追加なし。シマヤッコ君の白点はどんどん減っている。

7日目 +0ml

シマヤッコ君の白点は確認されない。銅濃度は未測定。キュプラミンの追加なし。

8日目 完治

今日もマヤッコ君の白点は確認されない。完治。明日からは銅の除去工程となります。

9日目 銅の除去

銅の除去のためにアクアセイフを規定量添加。4時間後銅濃度は0.1ppm 意外に残っている。

10~12日目 引き続き銅の除去

毎日アクアセイフを規定量添加。これでやっと0.05ppm未満まで下がる。ただ、このレベルの濃度になるとクアセイフ自体が青色のため、もしかしたら水槽の水を少し青く着色してしまっている気がしました。その青が、銅テスターの色に干渉し、いつまでも銅が残っている様に見えているのかもしれません。

以降、アクアセイフを銅の除去に用いることは止めて、透明なテトラパーフェクトウォーターに切り替えています。

とはいえ、液体の水質調整剤での銅除去はお勧めしません。なぜなら、再発時に再び銅を添加した際に残留する水質調整剤(アクアセイフやパーフェクトウォーター)が銅濃度の上昇・維持の妨げになるためです。専用のキュプリソーブでの除去を強く勧めます。

<液体の水質調整剤の落とし穴>
皆さん水質調整剤を使用していますか?代表的なものは塩素中和剤ですね。その他にも粘膜保護だったり、重金属の除去だったり様々な機能を持つ総合水質調整剤が売られています。昔、わたしは色んな機能があるならばそれに越したことはない・・・と某社の総合水質調整剤を軽い気持ちで常用していました。

ある時水槽で白点病が出て銅の添加を開始しました。しかし、銅の濃度がいつまでも上がらないのです。原因は、水中に存在する水質調整剤が添加された銅をどんどん無害化・除去してしまっていたのです。

この水質調整剤を除去するためには、飼育水を全部交換するしかなく、白点病に罹っている中、大量水替えという負担を与えざるを得ませんでした。その経験以降はむやみに総合水質調整剤を使用することは止めて、通常の水替え時は塩素中和のみのモノを使うようになりました。具体的な名称を上げると、テトラコントラコロラインなどです。大は小を兼ねる訳ではないな、と思う一件でした。

キュプリソーブの様な活性炭的な使い方をする除去剤は、それを水槽から取り除いてしまえば効果を止めることができます。今後は後々の影響が少ないこちら一択と考えています。

13日目 治療完全週終了

すっかり銅も検出されなくなり、一連の治療は完全終了。

キュプラミン使用上のFAQ

キュプラミンの使用期間は何日くらいが適切でしょうか?何日くらいで白点病が治るものでしょうか?

わたしの環境では正しく使えば約1週間程で治っています。魚の体力や水温などにも左右されますが、白点虫のライフサイクルを考えると1週間がひとつの目安期間です。

キュプラミンを投与して1週間以上経ちますが白点病が良くなる気配がありません

白点虫のライフサイクル上、1週間全く良くならないという事は、銅濃度が適切ではない(濃度が足りていない)事が考えられます。銅濃度の測定はいつ行っていますか?キュプラミン添加直後ではなく12~24時間経ったタイミングでの濃度を測定してみてください。そのタイミングまで銅濃度が維持されているか確認をしてください。そして、銅濃度がひと時も0.2ppmを切ることがないようにキープし続けてください。

結構な量のキュプラミンを添加している思うのですが、銅濃度が上がりません

最初は銅濃度が上がりにくいものですが、それなりの量を添加しても銅濃度が上がらないのであれば、次の点を確認してください。1・重金属を無害化する水質調整剤を使用していないか、2・殺菌灯やオゾナイザーなど薬の分解を促進しうる装置が付きっぱなしではないか、3・そもそも添加量の計算を間違っていないか、4・活性炭やリムーバーなどの吸着剤を入れたままではないか・・・

1~4全て確認しましたが、全て問題ありません。次の手立てはないでしょうか?

うーん、難しいですね。思いもよらない理由が隠れていそうな気もします。約30%~50%程度の水替えをしてからキュプラミンを添加してみましょう・・・。そうだ、人工海水、これにマスキング剤と呼ばれる調整剤が付属していたり含有されていたりしませんか?マスキング剤は銅を無害化してしまいます。付属している場合は使用を中止し水替えを。塩自体に含有している場合は他の塩で水替えを行ってください。

サンゴやイソギンチャクは飼育していないのですが、ライブロックが入っています。この水槽にキュプラミンを添加してもよいですか?

NGです!ライブロックはキュプラミン添加前に必ず取り出してください。ライブロックには多数の無脊椎動物が住んでいます。これらはキュプラミンでやられてしまいます。必ずライブロックは退避してください!

サンゴ、イソギンチャク、エビ、貝など無脊椎動物(魚類以外の生物)が水槽に同居していますが、魚に白点病が蔓延してしまいました。この水槽にキュプラミンNGという事は理解しています。どうしよう・・・

この場合は、治療用の別の水槽”トリートメントタンク”(簡易的にはバケツなどでも一応可)を用意し、そこで治療を行うことが基本です。本水槽での治療と異なるコツもあるので別記したいと思います。

できるだけ銅濃度を高くした方が治りが早かったり効果が確実ではありませんか?重症なので0.7~0.8ppm位にしたいのですが・・・

白点虫のライフサイクルから、銅が効くのは白点虫がセロント(水中を漂って魚を探している)のタイミングです。経験上0.2ppm以上あればちゃんとセロントを殺菌してくれます。0.8ppmにしてもリスクが増すだけでメリットは少ないと考えます。濃度が高い程早く効果が出る事もありません。一般的には0.2ppmを切らないように維持すれば十分です。白点病パート1でまとめた白点虫のライフサイクルも再確認してください。

治療中に餌を与えてよいのですか?

はい。わたしは治療中もエサを与えて魚の体力を落とさないようにしています。人間も風邪をひいたら食事は控えよう・・・とはなりませんね。むしろしっかり栄養を摂りましょう、ですね。治療中にエサを止める発想はおそらく硫酸銅時代の名残りかと思います。硫酸銅はろ過バクテリアへのダメージが大きく、エサを与えると水質が悪化する恐れがありました。一方キュプラミンは商品説明に「バクテリアに影響を与えません」と堂々と書いてあります。全く影響を与えないことはないとは思いますが、あまり心配しなくてもよいレベルなのだと思います。わたしは治療中もしっかり餌を与えます。

キュプラミンと他の薬を併用してもよいですか?殺菌灯やオゾナイザーを併用してもよいですか?

NGです!キュプラミン投与中に他の魚病薬を併用してはいけません!殺菌灯やオゾナイザーは薬の分解を早める可能性があるため治療中は電源をオフにしてください。

キュプラミンでの治療中に水替えをしてもよいですか?

問題ありません。ただし、水替えによって減った銅は追加してください。

白点病治療中の水温は何度にすればよいものでしょうか?

白点病の治療中もいつも通りの水温にしてください。治療中だから何度が良い、というようなものはありません。いつも飼育している水温で問題がないのであれば「いつもより高水温にした方が良い」「いつもより低水温にした方が良い」という声に耳を傾ける必要はありません。いつも通りの水温で治療をしてください。

パラクリアというエサは病気に効果があると聞きました。治療中にもこういったエサを与えてもよいでしょうか。

直接的な治療効果はありませんが、長期的な目線でみると予防など間接的に有効だと思います。わたしも治療中かどうかを問わず与えています。おすすめします。

まとめ

白点病は海水魚飼育において避けて通れない試練です。ですが、適切な治療法と道具さえあれば、治療することができます。

今回の治療では、以下の2点が成功のカギとなりました。

  • 銅治療薬「キュプラミン」:信頼性の高い銅治療薬で、初心者にも扱いやすい。
  • 銅濃度の測定ができる「セラ 銅テスター」:リーズナブルながら取り扱いやすく正確な銅の濃度測定ができます。治療効果を最大限に引き出し、安全に治療するための必需品。

このセットを使いこなせば、あなたの大切な魚たちもきっと回復できます。今回は無脊椎動物がいない環境だったので本水槽での治療ができました。後日、無脊椎動物がいる場合の、トリートメントタンクを用いた治療についてまとめたいと思います。

最後に、しつこいようですが当サイトの情報はあくまでもわたし個人の経験に基づいた私見です。くれぐれも自己責任にて治療を行ってください。

最後に最後に、キュプラミン(銅)はサンゴ、イソギンチャク、エビ、カニ、貝、海藻をはじめとする無脊椎動物がいる水槽では使用できません。魚以外への使用は全てNGです。

白点病を恐れずに、素敵な海水魚ライフを楽しみましょう。

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