【秋】ヒーターをお忘れなく【ヒーター・サーモスタットの選定と正しい使い方】

マリンアクアリウム全般

過酷だった夏が過ぎ、季節はいつの間にか秋。夏に書いたクーラーの記事で水温は上下動が生体には堪えると書きました。秋は急に寒くなったり、夏に逆戻りしたりと寒暖差が激しい季節です。気温の寒暖差が水槽の水温につながらないように、ヒーターとクーラーを適切に使いましょう。

どんな種類のヒーターを選ぶか

改めて書くまでもなく、マリンアクアリウムでは水温が重要です。これはだれもがよく認識している事実だと思います。皆さん飼育生体によって適切な水温で飼育をしていると思います。

水量に合ったヒーターを選ぶことは当然ですが、巷にはいろいろなヒーターが売られています。設定が少ないオートヒーターから、細かく自由に設定できるものまで飼育者のレベルや環境に合わせて色々なヒーターが市販されています。例を挙げてみていきましょう。

温度固定式オートヒーター

水槽に入れて電源につなぐと〇〇度(製品に設定された温度=26℃、23℃など)に合わせてくれるヒーターです。サーモスタットが不要、本体を水槽に入れるだけのものです。取り扱いが非常に簡単ですが、一切微調整ができないためメインヒーターとしては不向きです。他のメインヒーター故障時の保険としての用途がおすすめです。保険としてそのコンパクトさが有難いのです。保険用にする場合、メインヒーターでセットする水温よりも低水温のオートヒーターを選んで水槽に入れておきましょう。。

例)メインヒーター26℃が故障→保険オートヒーター稼働で23℃はキープ。崩壊は免れた!というような使い方です。機械は壊れるもの&水温関係は故障が崩壊に直結するので、2重対策が大切です。

サーモスタット一体型ヒーター

サーモスタットが一体になったヒーター、ヒーターが一体になったサーモスタット、どう捉えるかは定かではありませんが、ヒーターとサーモスタットがセットになっていて分離できないものです。温度固定式オートヒーターとの違いはダイヤルで水温を好きなように設定できることです。これであればマリンアクアリウムのメインヒーターとしても使用することができます。

利点は水温センサーが不要(正確にはヒーター側に内蔵されている)なのでセンサーがらみの人為的ミスによるトラブルが起きない事です。弱点はヒーターとサーモスタットが一体なので片っぽだけ交換ができない事です。一般にサーモよりもヒーターの方が消耗品なのでヒーター交換毎に、サーモスタットも一緒に交換となります。

わたしはこのタイプのヒーターを、水替え用や臨時用としてサブに4~5本持っています。

サーモスタット分離型ヒーター

サーモスタット単体と、ヒーター単体を組み合わせて使うものです。サーモスタットにヒーターの電源を制御させます。必ずサーモスタットにつなぎます。

ヒーターはエヴァリス、コトブキ、ニッソー、GEXの4メーカーが主流です。各社空焚き防止機能など一通りの安全装置(安全規格)を備えています。わたしは国産に惹かれてでエヴァリスのものを選ぶことが多いですが、海外製でも特にトラブルは経験したことはありませんので、上記4社からであれば好みで選んでよいと思います。

サーモスタットはヒーターよりもバラエティーに富んでいます。

オーソドックスなタイプ。ダイヤルで温度調整を行います。

エヴァリスの300-RDは、センサーが水から出るとヒーターへの通電を停止する安全装置付き。一歩抜きんでています。

サーモスタット使用時の留意点はセンサーですセンサーを水中に入れないと事故につながります。この点においてエヴァリスの安全装置は優れた機能ですね。また、センサーはヒーターと同じタンクに設置します。ヒーターの熱を受ける場所はよくないので少し離れた場所にセンサーを置きましょう。オーバーフロー水槽においてサンプにヒーター、本水槽にセンサー、の様な設置はNGです。必ずヒーターとセンサーは同一槽に設置しましょう。

某社にデジタル表示のサーモスタットがあり、水温異常時にアラートを出してくれるという素晴らしい機能を持ったものがあるのですが、水温設定が1℃単位や0.5℃単位と粗いためわたしは手を出せていません。ハイエンドのサーモが1℃とか0.5℃ステップじゃ粗すぎますよ・・・。せっかく素晴らしい機能を備えているので、ぜひダイヤル式か0.1℃刻みの商品を出してください、メーカーさん!!

夏季はヒーターを取り出すのか問題

夏季はヒーターは不要なので取り出すか否か。わたしの結論は夏季もヒーターは取り出さない。真夏でも涼しい日、特に夜間などは水温が下がる可能性があるからです。また、秋になりどのタイミングでヒータを入れるのか、判断を誤るとやはり水温低下の恐れがあるからです。

ちょっとくらい・・・・と思うかもしれませんが、変温動物である水槽内の生体にとってちょっとの水温変化でも大きな変化です。水温=体温なのです。たかが1~2℃・・・ですが例えば人間の体温が一度変わったと考えるといかがですか?体温35℃→34℃へ。これ、ヤバいですよね。

とにかく、水温は徹底的に変動させない!!28℃なら28℃から上下させない!!25℃なら25℃から上下させない!!これが非常に重要です。夏は暑いので上方向の水温にはみなさん敏感でしっかり対応しますが、下方向の水温変動には無頓着な方がいます。その結果、白点病が出たりと魚の調子が崩れることが多いのです。昼間30℃、夜27℃のように3度も水温差を出してはいけません。水温の日内変動は1℃未満に抑えましょう。昼間30℃になってしまうなら、夜は29℃というように極力一定を保ちましょう。ただし、昼間32℃だから夜も・・・というのはNGです。いくら何でも32℃は高すぎるので常識的な範囲での一定を保ちましょう。

ヒータを夏季に取り出さない事でヒーター・サーモの寿命は相応の期間分消費するかもしれませんが、確実な水温管理のためには大した問題ではありません。

ちょっと話はそれますが・・・

魚は変温動物。温度変化=体温変化。少しの変化も大きく影響。という事で、時々見かけるNG行動を2つ紹介します。

1・魚を素手で触る。ヒトの体温は魚にとって熱いです。やけどをするとまで言われることがあります。むやみに素手で触ることはやめた方がよさそうです。

2・冷凍フードを凍ったままドボンと入れて与える。冷たい餌が内蔵に入ります。人間ですら冷たいものをたくさん食べるとお腹をこわしたりします。魚はなおのこと、健康に良いわけありませんね。

水温計は必ず設置しましょう

サーモスタットのメモリで水温が分かるから不要・・・とはいきません。ちゃんと正確な水温計を設置して頻繁に水温を確認する習慣を付けましょう。

以前にも紹介しましたがわたしはニチドウのマルチ水温計Hをずっと愛用しています。

安い、正確、見やすい、使いやすい。最大温度と最小温度の記録可能。水槽内部・外部の温度表示可能。経験上、長年使用しても誤差も生じません。

しかしながら最近予備用にと特価(\398)になっていた他の水温計に手を出しました。

小さくて使いやすいのですが・・・

水温が約1.0℃近く高く表示されるのです。マルチ1=28.3℃、マルチ2=28.2℃、テ〇ラ=29.1℃・・・。うーん、1.0℃の違いは大きいですよ。スペック上誤差±1℃なのでほぼ仕様に準拠していると言われればそうかもしれませんが・・・。はじめて水温計を買う人だったらこの誤差、知らずに使い続ける可能性がありそうです。もう少し頑張ってほしいなと思う誤差ですね。もひとつディスると表示も薄くて見えにくい。テ〇ラ水温計には本体に大きく、「1℃高く出る」とマジックで書きました。やっぱりマルチ水温計に限ると感じた一件でした。

水槽が1本でも、水温計は複数個所持して時々同じ水温を計った時の差を確認することも大切です。

長期間にわたり正確な水温を示すものならエヴァリスのきっちり計れる水温計をおすすめします。アナログ式なので常用には向きませんが、時々これの値を正としてデジタル水温計がおかしくなっていないか比較チェックしましょう。

ベテランアクアリストへ

長く飼育を続けていると、大昔に買った機材が今でも現役だったりしませんか?家電の様に昔のものの方が長持ち・・・なんてことありますよね?我が家にも20年以上前に買ったニッソーのICオートヒーターが今でも故障せずに生きています。ですが、ヒーター・サーモスタットは長持ちしていても最新のものに交換する事をおすすめします。

昔のヒーターと今のヒーターは安全性が違います。空焚き防止機能、温度ヒューズ内蔵、安全性の高いプラグ、などなど今の製品には安全装置が組み込まれています。

古いヒーターは新しい世代に交換しましょう。そして定期交換しましょう。安全第一です。

まとめ

・温度可変型を選ぶ
・壊れなくても定期的に交換する(特にヒーター)
・夏季でもヒーターは水槽に入れておく
・水温計は信頼できるものを使う
・秋は寒暖の差が大きく、水温変動に注意

水温は基本のキですが自信を持って管理できていますか?秋のこの季節に改めて再確認しましょう。

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